119 民話 カハラオプナ(1.はじめに)

(新しいお話しの始め)

スラムさんの著書「ハワイの民話」の第Ⅺ章は、「カハラオプナ, マノアの王女」 です(1)。
この部分の執筆者はナクイナさんです。

執筆者ナクイナさん

ナクイナさんが生まれたのは、オアフ島、ホノルル市内のマノア渓谷です。
そのマノア渓谷が、このお話の舞台です。


彼女は、ハワイで初の女性判事と言われています。
また、第7代国王カラカウアの妃である、カピオラニの女官も務めました。

さらに、ハワイ文化や民話に関する数多くの作品を残しています。

スラムさんの著作活動に際しては、ハワイ文化面からのアドバイスや、ハワイ語の翻訳をしています。
このお話、「カハラオプナ, マノアの王女」も、その中の一つです。

本文に入る前に、お話しの舞台と主な登場人物を、簡単に説明しましょう。

お話の舞台

・マノア渓谷(Manoa Valley)
お話の舞台はオアフ島のマノア渓谷です。


この渓谷は、島の東岸に伸びるコオラウ山脈の南東端、州都ホノルルの東部にあります。
現在はハワイ大学本部(マノア校)があり、その先は閑静な住宅街です。

トレッキング・コースとしても人気があり、渓谷の一番奥にはマノア滝をはじめ、いくつもの滝があります。
乾季でも降雨量が多いため、良く虹がかかることでも知られています。

主な登場人物

・カハラオプナ(Kahalaopuna)
彼女はマノアのプリンセスで、半ば神のような家柄の人です。

彼女の美しさは、島中で大評判でした。
そして彼女は小さい頃から、カウヒ(後述)の許嫁(いいなずけ)でした。

・父のカハウカニ(Kahaukani)
彼女の父はカハウカニです。
今では人間の姿から、マノアに吹く風に変わっています。

・母のカウアクアヒネ(Kauakuahine)
そして母はカウアクアヒネです。
今ではよく降ることで知られる、マノアの雨になっています。

・家族神のプエオ(Pueo)
彼らの家族神(アウマクア)はフクロウ、ハワイでは「プエオ」と呼ばれます。
ハワイでは、サメと並ぶ代表的な家族神の一つです。

プエオは、カウヒに殺されたカハラオプナを、幾度も救い出します。

・カウヒ(Kauhi)
カウヒはカイルアの若い首長です。
カハラオプナの許嫁(いいなずけ)ですが、彼女の浮気の噂に怒り、彼女を殺してしまいます。

・若者
若者は、カハラオプナを救い出して彼女と結婚します。

なお、このお話はカラカウアの著書にも紹介されており、
そこでの若者は「マハナ(Mahana)と言う名前の、若い首長(chief)」です(*2)。

(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅺ. Kahalaopuna, Princess of Manoa. Mrs. E.M. Nakuina.
(*2) His Hawaiian Majesty Kalakaua(1888): The Legend and Myths of Hawaii, The Fables and Folk-lore of a Strange People. Charles L. Webster & Company.