121 民話 カハラオプナ(3.マノアの風と雨)

(前回からの続き)

双子の子(カハウカニとカウアクアヒネ)

アカアカとナレフアアカアカには、双子の子供がいました(*1)。

1人は男の子でカハウカニという名ですが、「マノアの風」とも呼ばれています。
もう1人は女の子のカウアクアヒネ、あの有名な「マノアの雨」です。

2人は生まれると直ぐに、アカアカの従兄弟(いとこ)の下に、養子に出されました。


養父母(コロワヒとポハクカラ)の決意

彼らの養父母となった2人は、兄弟姉妹でした。
1人は首長のコロワヒ、もう1人は女首長のポハクカラです。

首長は、男の子カハウカニ(マノアの風)の世話をしました。
もう一方の女首長は、女の子カウアクアヒネ(マノアの雨)の世話をしました。

子供たちが成長した時、里親たちは固く心に決めたのでした。
「この2人は、結婚して結ばれるべきだ。」

双子が結ばれ カハラオプナが生まれる

それまで、この2人は別々に育てられてきました。
そして、自分たちが双子だったことも、知りませんでした。

そこで2人は、里親たちが勧める結婚に、特に反対はしませんでした。

こうして、カハウカニとカウアクアヒネの2人は結婚しました。
やがて彼らの間に女の子、カハラオプナが生まれました。

その美しさは今も受け継がれている

マノア渓谷が有名なのは、マノアの風とマノアの雨のお陰です。

彼らの里親たちは、さらに双子の2人を結婚させることで、風と雨を永遠に結び付けたのでした。
そしてこの結婚により、その時代の最も美しい女性が誕生したのです。

現代のマノア渓谷の女性たちは、いわば、マノアの雨と風に抱かれて育っています。
ですから彼女たちは、あのカハラオプナの美しさを受け継いでいる、と考えられているのです。

(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅺ. Kahalaopuna, Princess of Manoa. Mrs. E.M. Nakuina.