122 民話 カハラオプナ(4.カハラオプナの光明)

(前回からの続き)

カハラオプナの家

カハイアマノのワイアケクアに通じる道沿いに、一軒の家が建てられました(*1)。
カハラオプナのための家で、彼女は数人の従者と共にそこに住み始めました。

家の周囲にはドラセナが、フェンスのように植えられています。

敷地内への立ち入りを禁じるため、入口の両脇にカプの標識が立てられました(*2)。
プロウロウと呼ばれる短くて頑丈な棒で、先端には白いタパ布で覆ったボールが付いています。


この標識は、階級が最も高くて神聖な人が、敷地内に住んでいることを示します。

バラ色の光が家を覆う

カハラオプナは、幼い頃から大変な美人でした。

彼女の頬(ほお)はこのうえなく赤く、その顔はまぶしいほど輝いていました。
そのため彼女の周囲には、いつも真っ赤に輝く光が放たれていました。

彼女が家にいると、その光は草ぶき屋根や壁の隙間から、家の外にまで差していました。

それは、あたかもバラ色の光が、彼女の家を覆っているようでした。
そして、四方に放たれる明るい光線は、家の頭上で絶えず踊っているように見えました。

今も彼女の魂が帰って来る

彼女は時々、家の下に湧き出ている泉に、水浴に行きました。

そんな時、彼女から四方に光が放たれ、彼女をとり囲むのでした。
それは、ちょうど神や聖人が発する光明を描いた、光背のようでした。


地元の人々は、「今でもカハイアマノでは、その輝く光が見えることがある。」と言います。
そして、その光が見えた時は、「カハラオプナの魂が、彼女の古い家に帰っている。」 のだそうです。

(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅺ. Kahalaopuna, Princess of Manoa. Mrs. E.M. Nakuina.
(*2) カプとは、かつてのハワイ社会における「タブー」を意味します。