129 民話 カハラオプナ(11.君は死なねばならぬ)

(前回からの続き)

不機嫌そうなカウヒ

カハラオプナの水浴びが済み、散歩に出かける準備が出来ました(*1)。
カウヒは、彼女について来るよう合図すると、一言も無く歩き始めました。

そして、彼らがクマカハを越えて、フアレアに向かっていた時のことです。

彼女が言いました。
「一休みして、何か食べていきませんか?」

彼は、かなり不機嫌そうに答えました。
「遠慮するよ。 食欲が無いんだ。」

怒らせたのは君だ

カウヒの険しい表情は、カハラオプナを睨(にら)んでいるようでした。
彼女は耐え切れずに、泣き叫ぶように言いました。

「私のこと怒ってるの?
私が何か、あなたの気に障ることをしたの?」

彼は唯(ただ)一言、こう返しました。
「何か? そう、君がしたことだ。 それが僕を怒らせたんだ!」

君は死なねばならぬ

それから彼は唯々歩き続け、彼女はそれに従いました。
そして、アイフアラマの大きな石の所まで来た時のことです。


彼はいきなり後ろを振り向き、若い彼女と顔を突き合わせました。
彼女を見つめる彼の顔には、熱い恋心と激しい憎しみが、入り混じっていました。

そして深いため息をつくと、ようやく口を開きました。

「君は美しい、そして私の許嫁(いいなずけ)だ。
しかし、君はずーっと偽り続けて来た。
だから、死なねばならないのだ。」

(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅺ.Kahalaopuna, Princess of Manoa. Mrs. E.M. Nakuina.