131 民話 カハラオプナ(13.カハラオプナの再生)

(前回からの続き)

守護神がカハラオプナを救い出す

カウヒの姿が見えなくなるとすぐ、大きなプエオが現われました(*1)(*2)。

このプエオはカハラオプナの守護神で、彼女の家からずーっと彼女に付き添って来たのです。

姿を現わしたプエオは、埋められていた彼女の体を、掘り起こし始めました。
それが済むと今度は2枚の羽を使って、彼女の体についた汚れを、注意深く払い落としました。

それから、彼女の鼻の孔に息を吹き込んで、彼女を生き返らせたのでした。

そして今度は、彼女のこめかみの傷に、自分の顔をこすりつけました。
するとその傷は、一瞬のうちに治ってしまいました。


カウヒが彼女の再生を知る

一方、ワイキキに向けて谷を下りていたカウヒは、未だそう遠くまで進んでいませんでした。
その時、彼は後ろから聞こえてくる、カハラオプナの声に気付いたのです。

彼女は、冷たく思いやりの無い彼の態度を、嘆き歌っていました。
そして、彼女を信じてくれるよう、彼に嘆願していたのです。

「信じられないなら、せめて、噂が本当かどうか確かめて下さい。
そうすれば、私があなたを偽り続けてきたか否かも、わかるでしょう。」

死んだはずのカハラオプナの声に、カウヒは驚き、慌てて もと来た道を引き返し始めました。
すると彼女の頭上に、プエオが飛んでいるのが見えました。

こうして彼は、彼女が守護神プエオに助けられて、生き返ったことを知ったのです。



(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅺ. Kahalaopuna, Princess of Manoa. Mrs. E.M. Nakuina.
(*2) 「プエオ」はフクロウ科の鳥で、日本でも見られるコミミズクの亜種です。この亜種は、ハワイにだけ生息する固有亜種です。