133 民話 カハラオプナ(15.2,3度目の死)

(前回からの続き)

カウヒの一撃が再び彼女を襲う

しかし、カウヒはカハラオプナの問いに、全く答えようとしません(*1)。
それどころか、いきなりハラの木を振りかざすと、再び彼女に強烈な一撃を与えました。


彼は前の時と同じように、一瞬のうちに彼女を殺してしまったのです。
そして倒れた彼女の近くに穴を掘ると、そこに彼女を埋めました。

それから彼はワイキキに向けて、カケアの尾根づたいの道を進み始めました(*2)。

しかし、彼の姿が見えなくなると直ぐ、またあのフクロウが現れました。
そして前と同じように、彼女の体の汚れを払って、彼女を生き返らせたのです。

生き返った彼女が彼を追う

彼女は再び彼の後について歩き始めました。
歩きながら、彼女は彼に捧げる愛を高らかに歌いあげました。

また、彼の心の怒りを嘆(なげ)き悲しそうに歌いました。
そして誤った疑いを捨てるよう、彼に懇願したのです。

ワオラニの尾根で彼女を殺す

殺したはずの彼女の声を聞いたカウヒは、急いで引き返すと、彼女について来るよう命じました。

彼らはマノア渓谷を後にして、カニアカププからヌウアヌ渓谷に入りました(*3)。
そしてワオラニの尾根まで進むと、カウヒは再び忠実な彼女を殺して、そこに埋めたのです。

しかし、またもやフクロウが現れて 彼女を生き返らせました。

(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅺ. Kahalaopuna, Princess of Manoa. Mrs. E.M. Nakuina.
(*2)「カケアの尾根(Kakea ridge)」は、マノアとヌウアヌの両渓谷を分かつ尾根で、カケアの丘(Puu kakea)とも呼ばれます.
(*3) カニアカププ(Kaniakapupu)は、ヌウアヌ渓谷上流にある聖地です。カメハメハ三世はこの地に夏の離宮を建てました。また、かつては、ここに農耕の神ロノ(Lono)を祀(まつ)るヘイアウがあったとも言われています.