134 民話 カハラオプナ(16.4,5度目の死)

(前回からの続き)

彼女の歌にカウヒが激怒する

カウヒが帰り道を歩いていると、再びカハラオプナの歌が聞こえて来ました(*1)。

彼女は、2人が登って来た山道が、どれだけ苦しく危険だったかを、こと細かに歌いました。
そして最後に、身に覚えの無い過(あやま)ちを、容赦してくれるよう懇願しました。

ところが、不幸にも再び彼女の声を聞いたカウヒは、怒りに身を震わせたのです。

これまで、彼は残虐な行為を繰り返し、彼女はその苦痛に耐えてきました。
しかしそれは、彼の心を和らげるどころか、逆により一層冷酷にしてしまいました。

そして、もとは優しかったであろう彼から、そのかけらすらも奪い取ったのです。

カハラオプナに永遠の死を!

彼が考えていることは唯一、彼女を永遠に殺してしまうことでした。
そうすれば、彼女に送り続けたポイと魚を無駄にした無念を、いくらかでも晴らせるからです。

彼は彼女のところに戻ると、前と同じように、彼についてくるよう命じました。
そして今度は、カリヒ渓谷の最上流にある、キロハナに向けて出発しました(*2)。

そしてそこで、彼は再び彼女を殺したのです。

しかし、彼女はフクロウのお陰で、また生き返りました。
そして彼女がまた歌い始めたため、彼女が愛する冷酷なカウヒは、彼女の再生を知りました。

大きなコアの木の下に埋める

これまで2人が歩いたのは、険しい山の斜面道や尾根、そして深い渓谷でした。
しかし今回、カウヒは彼女を連れて、小さくて険しい峡谷や平原を幾つも横切って進みました。

そして彼らが、カアラ山脈のエヴァ斜面にある、ポハケアに着いた時のことです。
彼はそこで彼女を殺して、大きなコア(Acacia koa)の木の下に埋めたのです。







(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅺ. Kahalaopuna, Princess of Manoa. Mrs. E.M. Nakuina.
(*2) Cultural Surveys Hawai'i(2007): Kalihi-Kapālama Portion of the Kalihi/Nu'uanu Sewer Rehabilitation Project Field Inspection and Literature Review Report, Kalihi & Kapālama Ahupua'a, Kona District, O'ahu (Job Code: KALIHI 1).