138 民話 カハラオプナ(20.キル・ハウスに乗り込む)

(前回からの続き)

カハラオプナの歌にカウヒが仰天


ある日、カウヒはいつものように、キル・ハウスでゲームを楽しんいました。
すると、彼の向かいにあの若者が座ったのです(*1)。

そして、カウヒがプレーを終えると、若者はキルを手にとり歌い始めました。
-- そうです、カハラオプナの1番目のメレ(mele)です。

それを聞いたカウヒはびっくり仰天。
厳格なゲーム規則も無視し若者の歌を遮(さえぎ)ると、いきなりこう尋ねました。

「どこでその歌を知ったんだ?」

すると若者は答えました。

「あの有名なマノアの美女、カハラオプナに教わったのです。
彼女は私の妹の友達で、今、私たちの家に来ているのです。」

しかしカウヒは、彼女は間違いなく死んだ、 と信じていました。
なぜって、彼女は守護神であるフクロウに、見捨てられたのですから。


カウヒと若者が大喧嘩

カウヒは若者を厳しく非難しました。
「嘘をつくんじゃない!」

こうして2人は互いに怒りを募(つの)らせ、とうとう大喧嘩(おおげんか)になってしまいました。
そして最後は王様の命令により、彼らは離れ離れにされたのでした。

次の日の夜、2人は再びそのキル・ハウスに現われました。
若者は、今度はカハラオプナの2番目のメレを歌いました。

これもまたカウヒを怒らせ、若者とカウヒは再び激しく言い争いました。

そして昨夜と同じように、彼らは周囲の人々に押さえられ、引き離されたのでした。

(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅺ. Kahalaopuna, Princess of Manoa. Mrs. E.M. Nakuina.