140 民話 カハラオプナ(22.裁判に向けて)

(前回からの続き)

カハラオプナの一行がワイキキに向かう

当日、カハラオプナはワイキキに向かいました(*1)。
彼女に付き添ったのは、両親、親族、召使い、そして2人の守護神でした。

その日、守護神たちは人間の姿をしていました。
いつもカハラオプナの近くにいて、必要なら彼女にアドバイスするためです。

彼女のお祖父(じい)さんのアカアカは、これから始まる裁判の裁判官の1人に任名されました。
彼は、カウヒと若者が対立し始める少し前から、ワイキキに住んでいるのです。

彼女の霊を恐れるカウヒ

カウヒは、彼の一族の神官や魔術師たちに、助言を求めました。
「殺された女が私に危害を加えようとして、この世に人間の姿で現れることがあるのか?」

すると、有名な神官で予言者でもある、カエアが答えました。

「大きなアぺの葉を持って行き、カハラオプナの一行を、その上に座らせるのです【解説1】。
もしも彼女が霊ならば、アぺの葉の上に座っても、それを裂(さ)くことは出来ないでしょう。
しかしもしも人間ならば、その葉は裂けてしまうでしょう。」

(次回に続く)
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【解説1】アぺの葉
アぺ ('ape) は、かつてハワイの主食だったタロ(taro)を、大きくしたような植物です(*2)。


ハート形の葉の大きさは、長さ60~120cm、幅60cmにも達します。
スコールが来たら、傘としても使えそうな大きな葉です。

なお、原文では "a-pe (Calladium costatum)"と記されていますが、辞書では "'ape (Alocasia macrorrhiza, Xanthosoma robustum)"です(*3)。

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales,Ⅺ. Kahalaopuna, Princess of Manoa. Mrs. E.M. Nakuina.
(*2) Lynton Dove White: (home page)/The "Canoe Plants"of Ancient Hawai`i/ `Ape(elephant's ear).
(*3) Mary Kawena Pukui, Samuel H. Elbert(1986): Hawaiian Dictionary, Univ.of Hawaii Press.