142 民話 カハラオプナ(24.彼女はアカアカの孫娘)

(前回からの続き)

アカアカが予言者を誘う

するとカハラオプナの祖父アカアカが、予言者カエアに言いました(*1)。

「あの瓶(かめ)の中を覗(のぞ)いてごらんなさい。
きっとその霊たちが見えますよ。」

これを聞いた予言者は、その謎めいた瓶にとり憑(つ)かれてしまいました。
瓶に心を奪われた彼には、最早いつもの慎重さは見られません。

予言者の霊を捕える

予言者は、その水瓶を持ってくるよう命じました。
そして瓶の中をじっと覗き込みました【解説1】。


しかし彼が見たのは、水面に映った自分の顔だけでした。

と、その瞬間、アカアカは素早く水面の予言者を捕えました。
それこそが、予言者の霊そのものだったのです。

アカアカはその霊を両手ではさむと、粉々に砕きました。
すると予言者カエアは、突然コロリと死んでしまったのです。

カハラオプナはアカアカの孫娘

予言者の死を確かめたアカアカは、次に後ろを振り返りました。
そしてカハラオプナの姿を見つけると、すぐ彼女に向かって進みました。

彼はそれから両腕を広げ、しっかりと彼女を抱き締めました。
こうしてアカアカは、カハラオプナが自分の愛する孫娘であることを、彼女に知らせたのです。

(次回に続く)
[目次へ戻る]

【解説1】水瓶の中に霊がいる
エマーソン(1917)によると、カフナが人に死をもたらすには、11種類の方法があります(*2)。
そのうちの7番目が、前回もご紹介した「ポイ・ウハネ=霊を捕える」です。

この方法では人の霊を水瓶の中に閉じ込めたり、霊を手で握りつぶしたりします。
本文では、この方法でアカアカが予言者の霊を捕え、彼に死をもたらしました。

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅺ. Kahalaopuna, Princess of Manoa. Mrs. E.M. Nakuina.
(*2) J. S. Emerson(1917): Selections from a Kahuna's Book of Prayers, 26th Annual Report of the Hawaiian Historical Society, p.17-39.