147 民話 カハラオプナ(29.人喰いザメを追え)

(前回からの続き)

カハラオプナの悲報が届く

カハラオプナがサメに食われて死ぬと、彼女の霊はすぐさま家に戻りました。
そして、彼女を襲った痛ましい出来事を、寝ていた彼女の母に話しました。

母は体を起こすと娘のことを惜しみ、悲しみに打ちひしがれました。
それでも彼女は気力を振り絞って、「サメが人を襲った!」と人々に警報を発しました。

しばらくすると、沖にいたサーファーたちが浜辺に逃げ帰って来ました。
彼らは皆、カハラオプナの悲惨な最後を目撃し、震え上がっていました。

彼女を襲ったサメを追え!

浜辺にカヌーが準備され、人々が乗り込みました。

さあ、彼女をくわえたサメの追跡が始まります。
彼女の血痕をたどれば、サメを追うのは難しくないでしょう。

サメは海面からかなり深い所を泳ぎましたが、その姿はカヌーから見えました。
しかし人々が持つ槍で突くには、余りにも深すぎました。

サメが彼女を食い尽くす

こうしてサメは、ワイキキからはるばるワイアナエまで、カヌーをおびき寄せたのでした(*2)。


ワイアナエに着いたサメは、海底で砂の窪地(くぼち)に入りました。
しかしカヌーからは、サメの動きがとても良く見えます。

やがてサメは、くわえていたカハラオプナを、ゆっくりと食べ始めました。
そして、とうとう彼女をまるごと食い尽くしてしまったのです。

--もう二度と彼女が生き返れないように!

(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅺ. Kahalaopuna, Princess of Manoa. Mrs. E.M. Nakuina.
(*2) ワイアナエ(Waianae)はオアフ島西海岸にあります。