150 民話 カアラとカアイアリイ(2.ラナイ島南西端の断崖)

(前回からの続き (本文の始め))

ラナイ島の南西部


ラナイ島の南西部には、カウノルとケアリアと言う2つのアフプアアが並んでいました(*1)(*2)。
海岸付近のケアリア隣接地には、かつてプウホヌアと呼ばれる駆け込み寺がありました(*3)。

それはヘイアウすなわち神社で、今ではカウノル遺跡と呼ばれています(*4)(*5)。
その遺跡がある場所は、深く狭い渓谷が山を下り海に出る河口部分です。


河口の荒涼とした湾

渓谷の両側に切り立つ断崖は、陸から海の中まで延びています。
そのため河口には、断崖に囲まれて荒涼とした湾が出来ています。

断崖上には高く厚い壁


西側の断崖頂部は、あたかも石を敷いた床のようです。
人々はここをクアハと呼んでいます。

クアハを囲うように細い小道が続き、さらにその外側には、高くて分厚い壁がしっかりと廻(めぐ)らしてあります。

断崖上から岸辺まで

その他の壁や構造物などは、断崖上から下の斜面に続いています。

斜面が平坦になると、岸辺までは石が敷かれたように見えます。
そして岸辺には、潮流ですり減った石が転がっています。

(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, 15.Kaala and Kaaialii, A Legend of Lanai, W.M. Gibson.
(*2) アフプアア(ahupua'a)はかつての行政区画ですが、現在の区画もこれが基になっています。
(*3) プウホヌアは原文の"pahonua" の和訳です。文意から"pahonua=pu'uhonua" とみなしたものです。
(*4) 神社は原文の"temple"の和訳です。寺院ではなく神社と訳したのは、本文の建造物がハワイの土着宗教にかかわるものだからです。
(*5) カウノル(Kaunolu)遺跡は、現在は米国の国家歴史登録財に登録されています。詳細は、米国公園局(U.S. National Park Service)のホームページ中の "Kaunolu Village Site" を参照下さい。