152 民話 カアラとカアイアリイ(4.大王がやって来た)

(前回からの続き)

カメハメハ大王がやって来た

ハワイの偉大な英雄・カメハメハ大王は、ここラナイ島や他の島々を次々と支配下に入れました(*1)。
そして当時有名だったこの漁場にやって来て、豊かな海に税を課そうとしたのです。


その時の彼は、戦闘用のカヌーを何隻も引き連れていました。

乗っていたのは、彼の忠実な戦士たちだけではありません。
彼の一族や神官たち、女性たち、そして彼らの従者たちもいました。

断崖上の要塞から対岸を見下ろす

この地には彼の別荘がありました。
それは河口の東側にそそり立つ、岩だらけの断崖上です。


そこからは、対岸に点在するヘイアウ(神社)やカウノル村、そして湾が見下ろせました。

しかし今では別荘らしいものは何もなく、唯一つ壁が残っているだけです。
かつては強固に積み上げられ、大王を守る要塞(ようさい)だった石が、無造作に散らばっています。

スポーツ万能で戦いが大好き

カメハメハがここケアリアの別荘に来るのは、神に祈るためと言うよりも、むしろスポーツを楽しむためでした。

まだ若くコハラ(?)の首長だった彼は、色々なスポーツが大好きでした。

例えば、マイカと呼ばれる現在のボーリングに近いスポーツ、そして槍(やり)投げです。
さらには、敵が裸の胸を狙(ねら)って投げる槍を、うまくかわすのも得意でした(*2)。


サーフィンでは白く砕ける波の峰、すなわち一番高い部分に乗るのが好きでした。
また嵐の中を一人でカヌーを操(あやつ)って、沖に出るのが彼の喜びでした。

彼は人間たちと戦うだけでなく、深い海の怪物たちとも戦ったのでした。

彼は、この湾にたくさんいる大きなサメを捕まえました。
また近くの海にいるイールやウミヘビを、両手でがしっと掴(つか)みました。

魚たちは勿論(もちろん)人間さえも恐れる、あの海の殺し屋たちを、彼は恐ろしく強い握力で抑え込んでしまったのでした。

(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, 15.Kaala and Kaaialii, A Legend of Lanai, W.M. Gibson.
(*2) Julie Stewart Williams(1992):Kamehameha The Great, Kamehameha School Press.