(前回からの続き)
そして兄弟のケアウェの所に行くと、彼をしっかりとつかまえ、
海辺に向かって手を引きながら、こう叫びました。
「あなたのカヌーの所へ、急いで! カウマラパウへ向けて漕ぐのを、私も手伝うから(N.1)。」
こうして彼女は、断崖を通る道を歩くよりも早く、その洞窟に着くことが出来たのでした。
彼は、迅速さを誇る大王のカヌーに飛び乗りました。
そして、いつものように、うねる潮の深くまでオールを突っ込み、自らカヌーを漕ぐのでした。
カヌーは大波に揺れながら、荒涼としたクモクの海辺を進みました。
その時の彼は素早く、ハワイの海を鋭く観察するダイバーに変身していました。
彼の鋭敏な目が、浅い所から深い場所まで、注意深く向けられて行きます。
そしてその目に入ったのが、海水がどっと流れ込む、海の洞窟の入口でした。
その入口は、海水を大きく吸い込んだと思うと、次の瞬間、逆に激しく噴き出しています。
しかし、頑強な彼の肢体(したい)は、その激しい流れを物ともせず、狭い流路を突き進みました。
そして、しばらくすると彼は、日が当たらない洞窟内の、暗い岸辺に立っていました。
(次回に続く)
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(ノート)
(N.1) カウマラプア(Kaumalapau):
カウマラプアとは、「カアラ (そしてカアイアリイ)がいるらしい洞窟」 に通じる、潮吹き穴がある湾の名前です。
詳しくは、本ブログ「183 民話 カアラとカアイアリイ(35.あの洞窟にカアラがいる)」を参照下さい。
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, 15.Kaala and Kaaialii, A Legend of Lanai, W.M. Gibson.
ウアが洞窟をめざす
この神官の言葉を聞くと、ウアはすぐさま立ち上がりました。そして兄弟のケアウェの所に行くと、彼をしっかりとつかまえ、
海辺に向かって手を引きながら、こう叫びました。
「あなたのカヌーの所へ、急いで! カウマラパウへ向けて漕ぐのを、私も手伝うから(N.1)。」
こうして彼女は、断崖を通る道を歩くよりも早く、その洞窟に着くことが出来たのでした。
大王もカヌーに飛び乗る
さらにあの大王までも、彼女らについて来たのです。彼は、迅速さを誇る大王のカヌーに飛び乗りました。
そして、いつものように、うねる潮の深くまでオールを突っ込み、自らカヌーを漕ぐのでした。
カヌーは大波に揺れながら、荒涼としたクモクの海辺を進みました。
カアイアリイは洞窟の中へ
一方、カアイアリイは、大量の海水が激しく流れ込むその下を、突き進んでいました。その時の彼は素早く、ハワイの海を鋭く観察するダイバーに変身していました。
彼の鋭敏な目が、浅い所から深い場所まで、注意深く向けられて行きます。
そしてその目に入ったのが、海水がどっと流れ込む、海の洞窟の入口でした。
その入口は、海水を大きく吸い込んだと思うと、次の瞬間、逆に激しく噴き出しています。
しかし、頑強な彼の肢体(したい)は、その激しい流れを物ともせず、狭い流路を突き進みました。
そして、しばらくすると彼は、日が当たらない洞窟内の、暗い岸辺に立っていました。
(次回に続く)
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(ノート)
(N.1) カウマラプア(Kaumalapau):
カウマラプアとは、「カアラ (そしてカアイアリイ)がいるらしい洞窟」 に通じる、潮吹き穴がある湾の名前です。
詳しくは、本ブログ「183 民話 カアラとカアイアリイ(35.あの洞窟にカアラがいる)」を参照下さい。
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, 15.Kaala and Kaaialii, A Legend of Lanai, W.M. Gibson.