187 民話 カアラとカアイアリイ(39.大王がカアイアリイをさとす)

(前回からの続き)

ウア、そして大王の声が

あまりの悲しさに、その洞窟の中でカアイアリイが泣き叫んだ時、誰か他の人の声が聞こえて来ました。

最初に聞こえたのはウアの声です。
友達カアラの遺体に身をかがめながら、彼女は慰めるように彼に話しかけています。

そしてしばらく後、彼の偉大なリーダー(大王)の声が聞こえます。
大王は彼に声をかけ、その悲しみを耐え忍ぶよう命じています。

カアイアリイが嘆く

「おお、この世の全ての海の大王様。」
と、カアイアリイが呼びかけました。

彼は、カアラをウアの腕に託し、大王の前に直立不動で立っています。

「私は、あなたから頂いた花カアラを、失ってしまいました。
彼女は傷つき衰弱して、死んでしまったのです。

そして私はもはや、人生に喜びというものが無いのです。」

大王がカアイアリイをさとす

「何を言うか!」
と、カメハメハ大王が言いました。


「お前は、れっきとした首長だ。
そのお前が、1人の女のために人生を投げ出すと言うのか?

ここにウアがいる。彼女はお前を愛している。
彼女は、カアラのように若くて優しい。

お前に彼女を授けよう。そしてもしも望むならば、さらに 。
以前授けたハワイ島コハラの土地に加えて、このラナイ島でお前が欲しい全てをやろう。

この島の雄大なパラワイ盆地をお前に授けよう。
カウノルにある私の釣り場をじっくりと見せてあげよう。
そして、お前はこのラナイ島の王になるのだ。」

(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, 15.Kaala and Kaaialii, A Legend of Lanai, W.M. Gibson.