195 プナホウの泉(7.水浴び場が出来た)

(前回からの続き)

カナワイの池に潜る

男の子(ワアヒラの雨)はそれから、カナワイの池に向かいました(*1)。

池に潜って見ると、地表からは見えない水路がありました。
水の神が、彼の願い通りに、水路を開いてくれたのです。

彼は、この地下の水路を泳いで、どんどん進んで行きました。

プナホウに泉が湧く

こうして彼がやって来たのが、今では 「プナホウの泉」の名で知られる場所でした(N.1)。

どっと押し寄せた水の力で地面が破れ、地表に水が湧き出しました。
そして間もなくすると、小さな水たまりが出来上がりました。

と言うのは、男の子が湧水を囲むように土を盛り、壁を造ったからです。
さらに壁に狭い出口を設け、余分な水が流れ出すようにしました。

水遊び場が出来た!

いよいよ最後の池造りです。

高齢な水の神の、目に見えない助けを借りながら、
彼は直ぐ穴掘り作業に取りかかり、1つの池を造ってしまいました。

それは、双子の女の子が泳ぐのにちょうど良い大きさでした。

彼女は昼寝から目を覚ますと、びっくり仰天しました。
今朝までカラカラに乾いていた場所に、何と、素敵な水面があったのですから。

池の中では男の子が泳いだり、水を跳ねて遊んだりしています。

そして楽しそうに女の子に呼びかけました。
「こっちに来て、水浴びをしてごらんよ!」



(次回に続く)
[目次へ戻る]

(ノート)
(N.1) プナホウの泉 (Punahou Spring) :
現在もこの場所から泉が湧き出ており、「ユリが池(Lily Pond)」と呼ばれる池になっています。
この池は、プナホウ・スクール敷地内中央付近の、Thurston Chapel南隣にあります(*2)。

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅻ.The Punahou Spring. Mrs.E.M.Nakuina.
(*2) Punahou:/(Home Page)/MENU/About/History and Tradition.