201 アフウラ(4.魂からのメッセージ)

(前回からの続き)

プオアで少女の死体を見る

エレイオはプオア(風葬場)に入り、高い床の上に昇って、その少女の死体を見ました(*1)。

彼女はどう見ても、先ほどの魂と同じくらいに美しい人でした。
そして見た感じでは、まだ腐敗が始まっていませんでした。

両親が住む家へ

エレイオはプオアを出るとすぐ、彼女の魂が指差したあの、両親が住む家へ急ぎました。
そこには1人の女の人が、声を上げて泣いていました。

その顔が彼女の魂と似ていたので、直ぐに母親だとわかりました。
彼はその女の人に、「アロハ」と挨拶しました。

そして、こう言ったのでした。

「私はよそから来た者です。
しかしその私には、旅の仲間がいました。

その人が私をあそこのプオアに導き、そして姿を消してしまったのです。」

この不思議な言葉を聞くと、女の人は直ぐに泣き止み、夫を呼びました。
そして見知らぬ人の言葉を、そのまま夫に向かって繰り返しました。

それを受けてエレイオが、彼らにこう尋ねました。
「ここはあなた方の家ですか?」

夫と妻は不審に思いながらも、直ぐに答えました。
「そうです。」

魂からのメッセージ

「それでは、」とエレイオが話し始めました。

「あなた方にお伝えしたいことがあります。

私の旅の仲間は、1頭の大きなブタを持っている、と言っています。
そのブタは2メートルほどあり、あなた方が世話をしています。

その他に、カパ布を積み重ねて、一山にしてあります。
素晴らしいパイウラ、そして幾種類かの上等なカパ布の山です(N.1)。


さらにマットが一山、それから未完成のフェザー・クロークです。
クロークの長さは今はまだ約2.7mですが、これから仕上げるところで、その材料はすでに家の中にあります。

愛する娘が彼に贈った

彼女は、これらの品々の全てを私に贈る、と言っているのです。
そしてそれを受け取らせるために、私をあなた方の家に来させたのです。」

続いて彼は、旅の仲間である彼女のことを、話しはじめました。
両親たちは2人とも、その話しが真実であると気付きました。

そして、それらの品々を差し出すことに、喜んで同意したのです。
---間違いなく彼らの愛する娘自身が、「彼に贈る。」と言っているのですから。

(次回に続く)
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(ノート)
(N.1) パイウラ(paiula):
パイウラはカパ布の一種で、赤いカパ布の切れ端を、ワウケ(梶の木)の樹皮と一緒に叩いて作ります(*2)。
こうすることで、切れ端の赤色とワウケの白色が、混ざったカパ布が出来上がります。
カパ布の素材(樹皮)には、ワウケ(wauke)の他にママキ(mamaki)がありますが、前者で作ったカパ布が最高とされています(*3)。

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, 14. Ahuula ; A Legend of Kanikaniaula and the First Feather Cloak, Mrs. E.M.Nakuina.
(*2) L.Andrews(rev. by H.H.Parker)(1922): A dictionary of the Hawaiian language, Published by Board, Honolulu Hawaii.
(*3) D.D.K.Mitchell(1969): Resource units in Hawaiian culture, Kamehameha Schools.