203 アフウラ(6.祭壇からプオアへ)

(前回からの続き)

私に協力して下さい

エレイオは、そこにいた女性や子供たちに言いました(*1)。

「自分の家に戻ってお祈りをして、私に協力して下さい。

豚、鶏、そして犬たちは皆、暗い小屋の中に閉じ込めて、騒がせないで下さい。
これ以上は無理と思うくらいまで、静かにさせるのです。」

そして男たちには、こんな風に頼みました。
「あなた方の神々を呼んで下さい。そして 『エレイオにご加護を!』と、お願いして下さい。」

全てを神々に捧げて祈願する

それから彼はハナに向けて出発し、カエレクに着くと、アヴァの灌木を2本引き抜きました。
この地のアヴァは、その優れた効能で有名だったのです。


そして彼は、大きなブタが焼き上がるまでには、戻って来ました。

持ち帰ったアヴァは、神にお供えするために整えました。
一方、ご馳走の準備も順調に進み、出来上がった料理が次々と並びました。

エレイオはそれらの全てを、神々に捧げました。
その上で、彼が今まさにしようとしている事に、お力添え下さるよう祈願したのです。

魂を捕えてプオア(風葬場)へ急ぐ

その間、あの少女の魂はずーっと、彼の近くに居たと思われます。
どうやら、彼にくっついていたようでした。

エレイオが神々に祈る儀式を終えると、彼は振り向いてその魂を捕えました。

そして息をひそめて神々に祈りながら、プオアに向けて急ぎました。
すると、彼の考えに気づき始めた両親も後に続きました。

そうです、エレイオは彼らの娘にカプク、すなわち『死者の再生』、をさせようとしていたのです(N.1)。

(次回に続く)
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(ノート)
(N.1) カプク(kapuku):
「カプク」は 日本語の「蘇生」に対応するハワイ語で、一度死亡した人間が再び生命を取り戻すことを意味します(*2)。

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, 14. Ahuula ; A Legend of Kanikaniaula and the First Feather Cloak, Mrs. E.M.Nakuina.
(*2) Martha Beckwith(1970): Hawaiian Mythology, Mok.10 The Soul after Death.