204 アフウラ(7.少女の喜びの叫び)

(前回からの続き)


彼女の魂を肉体に戻す

プオア(風葬場)に着いたエレイオは、捕えた魂を彼女の死体のもとに運びます(*1)。

そして足の甲に魂を置くと、体の中に詰め込むように、しっかりと押し付けました。
その間、彼はずーっと祈り続けています。

するとその魂は、喜んでもとの住み家に入り、膝(ひざ)まで進みました。

さらに腰まで押し上げる

しかしそれから先、魂は一歩も進もうとしません。

と言うのは、彼女の胃が腐敗し始めていると感じたからです。
魂は自分自身を、腐りかけた汚物にさらしたくなかったのです。

ところがエレイオの祈りの言葉は、それ以上に強力でした。

彼はその強力なパワーで魂を押し上げ、膝の先に進めたのです。
こうして魂は大腿骨のある腰まで、上がって来ました。

そして喉(のど)へ

しかし頑固な魂は、再び先に進むことを拒否しました。

抵抗する魂をさらに押し上げようと、彼はより一層熱心に祈りを捧げました。
その強い熱意のお陰で魂は進み出し、やがて喉(のど)に着きました。

嬉しそうな叫び声

ここに来て魂は、さらに幾つかの不安に駆られていました。

一方、この時までには、父、母、そして親族の男たちが全てそろいました。
彼らは心配そうにエレイオを取り囲み、彼の魂を処する術を見守っています。

そして彼らが祈りで授かった力の全てを、エレイオ1人に集中させました。
こうして高まった彼のパワーは、魂の不安をも払いのけ、首を通り越して頭まで魂を押し上げました。

そしてこの時、少女は嬉しそうな叫び声を上げたのでした。

(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, 14. Ahuula ; A Legend of Kanikaniaula and the First Feather Cloak, Mrs. E.M.Nakuina.