205 アフウラ(8.親族で再生を祝う)

(前回からの続き)

少女が生き返る

今や集まった仲間たちの間に、希望が満ち溢(あふ)れていました(*1)。
彼らはこぞって祈りの言葉を、生き生きした力強いものに変えました。

一方、魂は肘(ひじ)と手首を通る際に、弱々しく最後の抵抗を試みました。
しかしそれも、この一致団結した誇らしげな祈りのパワーに、押さえ込まれたのでした。

こうして魂は祈りの言葉に静かに従い、肉体を完全に占有しました。
そうです、少女は生き返ったのです。

再生を祝う宴(うたげ)

彼女は、地元の神官によるいつものお清めの儀式で、穢(けが)れを祓(はら)ってもらいました。

それが終わると、すでに準備が整ったラナイ(小屋)に案内されました。
そこには彼女を中心に、カフナ(神官)、両親そして親族が集まり、彼女の再生を喜び合いました。

それから、人々は神々のために準備したご馳走を、大いに楽しみました。
と言うのは、神々は人間がお供えした物の、精神的本質だけを吸い取るからです。

そして、かさばる物質的な部分は、信奉者たちに残すのです。
ですから信奉者たちは、しばらくの間、神々のお客様になるのです。

娘はあなたのものです


ご馳走が終わると、次はフェザー・クローク、カパ布、そしてファイン・マットの番です。
これらの品々が小屋に運び込まれ、エレイオの前に並べられました。


そして、父親が彼に言いました。

「あなたが生き返らせた女性、 我が娘は、あなたのものです。
娘を妻にめとり、私たちと共にこの地に、とどまって下さい。

そうです、あなたは私の息子になるのです。
そして、これまで私たちが娘に注いだ愛を、これからは、娘とあなたの2人で分かち合うのです。」


(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, 14. Ahuula ; A Legend of Kanikaniaula and the First Feather Cloak, Mrs. E.M.Nakuina.