206 アフウラ(9.彼女は王女にふさわしい)

(前回からの続き)

彼女はこの島の王女にふさわしい

しかし我が英雄・エレイオは、卓越した慎(つつし)み深さと、彼のご主人である王への忠誠心から、こう言いました(*1)。

「いいえ私は、彼女を妻にするのではなく、彼女の保護者になりましょう。
彼女は大変立派なので、もっと地位が高い人の妻になるべきでしょう。

私を信じて彼女を預けてくれれば、彼女を私のご主人の所に連れて行きましょう。
なぜって、彼女はとても美しく魅力的なので、私たちが愛するこの島の王女に、ふさわしいからです。」

いつもあなたを待っている

父は答えました。
「彼女はあなたのもの。 あなたの思うようにして下さい。

言わば、あなたが彼女を生み出したのですから。
もしも、あなたがいなかったら、彼女は今どこにいることやら?

あなたにお願いしたいのは、いつもこの事を忘れないで! と言うことです。

『あなたの両親と親続は、ここに居ます。
そして住まいも、-- もしあなたが望めば何時(いつ)でも。』」

ラハイナへ向かう


それからエレイオは、自分がご主人の元に戻る前に、フェザークロークを完成させるよう、お願いしました。

すると、フェザー作りの出来る人が勢ぞろいして、すぐに作業が始まりました。
そこには、あの美しい少女、生き返った少女の顔もありました。

彼はこの時、彼女の名前がカニカニアウラだと知りました。

そしてフェザークロークが完成すると、彼はその少女を連れて、ラハイナに向け出発しました。
フェザークロークと残ったアヴァを手にした彼は、もはや呪文を唱えることはありませんでした。

(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, 14. Ahuula ; A Legend of Kanikaniaula and the First Feather Cloak, Mrs. E.M.Nakuina.