208 アフウラ(11.カニカニアウラは王女に)

(前回からの続き)

大変貴重な物がある

クキニ(使者)のエレイオが、王カカアラネオに答えました(*1)。

「私は我が身を王に捧げる家臣です。
もしも死なねばならぬなら、ご主人様の足元で死ぬのが、私の望みです。

しかし、もしそうならば、ご主人様。
それはあなた様にとって、取り返しのつかない大損失になるでしょう。

と言うのは、今、私の手元に大変貴重な物があるからです。
それは、あなた様の名を広く世に知らしめ、長く後世に伝えるものです。」

フェザー・クロークとアヴァを献上

「それとは、一体何のことだ?」 王は尋ねました。
そこでエレイオは、抱えていた包みを開き、王や宮廷に仕える家臣たちに、広げて見せました。

彼らはその豪華絢爛なフェザー・クロークに驚嘆し、じっと見入ったのでした。
その素晴らしさたるや、この島々では前代未聞でした。

こうして、言うまでもなく彼は直ちに許され、再び王室のお気に入りになったのです。

一方、彼がハナから持ち帰ったアヴァは、王専用の特別品として保管されました。
そしてその夜、王が神々に奉納しました。


カニカニアウラは王女に

王は、エレイオの旅先で起きた出来事を、こと細かに聞きました。
そして、フェザー・クロークの本当の、そして元々の所有者が、すぐ近くに居ると知りました。

王はその所有者カニカニアウラを、直ちにここに連れて来るよう命じました。
その素晴らしい衣装の、お礼を言おうと思ったのです。

彼女が王の前に姿を現わした時、彼は彼女の美しさと奥ゆかしさに、強く心を打たれました。
そして彼女に、王女になって欲しいと頼んだのでした。

ですから、この島の王の何人かは、王カカアラネオと王女カニカニアウラの子孫です。


(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, 14. Ahuula ; A Legend of Kanikaniaula and the First Feather Cloak, Mrs. E.M.Nakuina.