210 カネアウカイ(1.豊かなモクレイアの海)

(新しいお話しの始め)

貧しい2人の老漁夫

その昔、迷信や呪術の闇の中で、ハワイの人々が、多くの神々を信じていた頃のことです(*1)。


ワイアルアのモクレイアという所に、2人の老人が住んでいました(N.1)。
彼らの務めは、カネアウカイ神に大漁を祈願することでした(N.2)。

その彼らの生活は、世俗的に見ると、大変貧しいものでした。
しかし、夕食にポイと魚を食べた後は、いつも一杯のアヴァを飲んでいました。

獲物はサンゴ礁の魚、カニ、そしてイカ

モクレイアの海で良く捕れる魚と言えば、アウェオウェ、カラ、マ二二、
そして、サンゴ礁に住む数多くの魚たちでした。


海辺の近くでは、色々なカニたちが砂に穴を掘って、逃げ込みました。
それを見た人々は、老いも若きも砂を掘り起こし、カニを捕まえました。

イカたちもまた、腕のいい漁夫たちに槍で突かれました。
これを食べる時には、シチューにしたり、塩水に漬けて天日で干したり、また、炭火で焼いたりしました。

塩はどこから来た?

恐らく、塩はカエナ岬から来たものです。


あの嵐の岬には、くぼみのある岩がたくさんあります。
そのくぼみに溜まった塩水が蒸発して、大量の塩が採れるのです。

そうでなければ、パウカウウィラの塩田で作られていたのでしょう。
こちらはパウカウウィラ海流の近くにあり、小規模ながら数年前まで生産していました。

(次回に続く)
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(ノート)
(N.1) ワイアルアのモクレイア(Mokuleia, Waialua):
かつてのオアフ島は、「モク」と呼ばれる6つの地域に分けられていました。
そのうちの一つが島の北西部を占めるワイアルアで、東はコオラウ山脈、西はワイアナエ山脈に挟まれていました。
そしてワイアルアの中は、「アフプアア」と呼ばれる8つの小地域に分けられていました。
モクレイアはそのうちの一つで、西はワイアエナ山脈、北はモクレイア海岸に挟まれていました。

(N.2) カネアウカイ(Kaneaukai):
カネアウカイは家族神(アウマクア)の一つで、オアフ島北岸(ノースショア)では、最も重要なアウマクアの一つとされています(*2)。

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, 23. Kaneaukai: A Legend of Waialua. Thos. G. Thrum.
(*2) Malama Pupukea Waimea: (Home Page)/Traditional History & Culture.