213 カネアウカイ(4.木像もここに据えなさい)

(前回からの続き)

カネアウカイ神が現われる

それは、2人の老カフナが石の神像を見つけた、10日ほど後のことです(*1)。

薄暗い夕暮れのなかで、彼らが草葺きの家のそばに座っていました。
そして魚が捕れないことを、嘆き悲しんでいました。

そこに現われたのが、若者の姿をしたカネアウカイ神ご自身でした。
神は老カフナたちに言いました。

「あなた方は、私の石像を据え付けるという、立派なことをしました。
これから私の言う通りにするならば、あなた方は、たくさんの魚を手に入れるでしょう。」

モクレイアの木像もここに据えなさい

そしてカネアウカイ神は、こう続けました。

「モクレイアに行きなさい。
そこであなた方は、木で造った私の像を、見つけるでしょう。

それをここに持ってくるのです。
そして、私の石像に並べて据えるのです。」

底なし沼が怖い

しかし、彼らはためらいました。
と言うのは、その夜は闇(やみ)夜だったからです。

そんな時はいつも、カマナヌイ川の水が増して、底なし沼が出来るのです(N.1)(N.2)。



孫たちを使いに出す

カネアウカイ神の答えは、こうでした。
「あなた方の孫たちに行かせなさい。」

こうして、2人の若者が使いに出されることになりました。
そしてその若者たちに、木像のある場所が伝えられました。

(次回に続く)
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(ノート)
(N.1) カマナヌイ川 (Kamananui River):
カマナヌイ川は、ワイメア(Waimea)渓谷を流れる、ワイメア川の上流にある支流の1つです。
(N.2) 底なし沼 (quicksand) :
底なし沼は流砂とも呼ばれ、川岸や海岸付近などで、地下水が湧き出すことにより形成されます。
一旦そこに足を踏み入れると、もがけばもがくほど体が沈み込んで、抜け出せなくなると言われます。


(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, 23. Kaneaukai: A Legend of Waialua. Thos. G. Thrum.