217 カペエペエカウイラ(1.モロカイ島北岸のハウプ)

(新しいお話の始め)

北岸の断崖と渓谷

モロカイ島の北岸では断崖絶壁が延々と続き、その長さは島の東端から約30kmにも及びます(N.1)(*1)。
そして切り立った黒い岩の高さは、240mから600mまで変化しています。 


この広大な断崖絶壁を遮(さえぎ)っているのは、4つのロマンあふれる渓谷です。
それらの名はペレクヌ、プアアハウヌイ、ワイラウ、そしてワイコルです。


ハウプ岬

ペレクヌ渓谷とワイコル渓谷の間には、がっしりして鋭いハウプ岬が突き出ています。
この岬が2つの渓谷を分かつ尾根となっているのです。

人々はこれを見て、刃先を上に向けた斧(おの)の頭部、を連想するのでした。

ハウプの岩

この岬と並ぶように棒状の岩が30〜40本、深い青い海から突如として姿を見せています。

これがハウプの岩です。
その中の3,4本はちょうど鋭い針のようで、高さは6m〜30mとさまざまです。

この場所こそが、カペエペエカウイラの伝説の地なのです。
そしてここに立つ岩は、あたかも厳しい表情で任務に着く番兵たちのようです。

そうです。
今では「カラワオ居住地」の名で知られるあの地の、東のはずれを守る番兵です(N.2)。


(次回に続く)
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(ノート)
(N.1)モロカイ(Molokai)島:
モロカイ島は、ハワイ諸島を構成するの主要8島の一つで、オアフ島とマウイ島の間にあります。
島の形状は東西に細長く、東西方向には約60kmありますが、南北方向は約15kmです。


(N.2)カラワオ居住地(settlement of Kalawao):
カラワオ居住地は、1866年、ハンセン病患者を隔離するために、ハワイ王国により設けられました。
本居住地はモロカイ島のカラウパパ半島東側にありましたが、その後、同半島西側のカラウパパ(Kalaupapa)にも設けらました。

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅷ. Kapeepeekauila; or, The Rock of Kana. Rev. A.O. Forbes, p.63-73.