219 カペエペエカウイラ(3. 嘆き悲しむヒナの夫)

(前回からの続き)

島の反対側に住む人々を集める

この伝言がカペエペエカウイラに届くと、彼はすぐさま島の反対側に使者を送りました。
ケオネクイナからカラマウラに住む人々を、一人残らず呼び集めようとしたのです(N.1)。

と言うのは、もうご存知のように、彼はとても毛深い男だったからです。
彼は自分の皮膚に生えた醜い毛を、彼女に合う前に無くそうと思ったのです。

2人はハウプの頂上に住み始める

人々が皆カペエペエカウイラのもとに集まると、彼は体を横たえました。

すると人々は一斉に彼の皮膚の毛を抜き始め、とうとう、一本残らず抜いてしまいました。

こうして、美しい肌になった彼は、晴れてヒナを妻に娶(めと)りました。
それから2人は一緒に、ハウプの頂上に住み始めたのでした。

嘆き悲しむヒナの夫

可愛そうなのは、ヒナの夫ハカラニレオです。

伴侶(はんりょ)を失った彼の悲しみは、測りきれないほど深いものでした。
長い冬の夜、そしてスコールが襲う夏の夜も、彼はいつも彼女と一緒だったのです。

それなのに今、彼は彼女を連れ戻すことも出来ません。
と言うのは、ハウプの峰は限りなく高く伸び、天にまで届いていたからです。

彼は嘆き悲しみ、もだえ苦しみながら、ホコリまみれの体をひっくり返しました。
そして背中の後ろで両手を組みました。

(次回に続く)
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(ノート)
(N.1) ケオネクイナ(Keonekuina)、カラマウラ(Kalamaula):
ケオネクイナとカラマウラは共に、ハウプがある島の北岸から見た対岸、すなわち南岸沿いに並ぶアフプアア(生活共同体)の名称です。
前者は南側の海岸線上で島の東寄り、後者は島の中央付近にあり、両者の距離は20km程度です。

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅷ. Kapeepeekauila; or, The Rock of Kana. Rev. A.O. Forbes, p.63-73.