220 カペエペエカウイラ(4. カマララワルと石)

(前回からの続き)

カマララワルに出会う

それ以来、ハカラニレオはあちこち歩き回っては、妻を取り戻すパワーがありそうな人を探しました(*1)。

あてどもなく彷徨(さまよ)うなかで、彼が最初に目を付けたのはカマララワル、
力が強くて勇気がある、と評判の男でした。

カマララワルは、ハカラレニオがとても辛(つら)そうで悲しみに暮れているのを見て、こう訪ねました。
「親父(おやじ)さん、一体全体、なぜそんなに涙を流すんだね?」

妻をカウイラに盗られたんだ

ハカラニレオは答えました。
「うるせえ! 盗られたんだよ。」

「誰に盗られたんだい?」
「カペエペエに盗られたんだ。」

「カペエペエって誰だ?」
「カペエペエ・カウイラだよ。」

「そのカウイラって誰だい?」
「カウイラだよ、ハウプに住む恐れ知らずの奴だ。」

木の棒なんかだめだ

するとカマララワルが言いました。

「親父さん! そんなんじゃあ、あんたの妻を取り返せないぜ。
木の棒なんかで攻撃したって、せいぜい、カウイラの足元のホコリを叩(たた)くだけだ。

しかも、その木の棒で反撃されれば、頭をぶちのめされるぞ。
よく見ろ。あのハウプの山は、めっちゃ高いぞ。」


石を投げるんだ

さてこのカマララワルは、石を投げるパワーが凄(すご)いことで有名でした。
そして彼自身の体は片側が石で、残りが生身の肉で出来ていました。

彼はまずは試しにと、大きな石を掴(つか)んで、上に向けて放り投げました。

石はぐんぐん昇って行き、遂に大空にぶち当たりました。
ところが、今度はその石が大地に向かって、落ちて来くるではありませんか。

これを見たカマララワルは、自分の体の石で出来た側で、それを受けようとしました。
しかし石が激突した彼の体は、ガタガタと音を立てたのでした。

その様子をじっと見ていたハカラニレオは、悲しそうに言いました。
「もっと強くないとだめだ。」

(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅷ. Kapeepeekauila; or, The Rock of Kana. Rev. A.O. Forbes, p.63-73.