221 カペエペエカウイラ(5. 英雄にも頼れない)

(前回からの続き)

ニウロイヒキに会う

ハカラニレオは悲しみのあまり、幾度も胸を叩(たた)きながら、さらに先に進みました(*1)。
そしてあの有名な、ニウロイヒキの所にやって来ました。

そこで彼はカマララワルに出会った時と同じように、これまでの経緯(いきさつ)を話しました。
するとニウロイヒキはこう答えました。

「それは望み無しだ。
あれを見ろ、ハウプはめっちゃ高いんだぞ。」

カウルと会う

ハカラニレオは、もっとパワーのある人を探そうと、再び歩き始めました。
そして3番目に出会った有名な男、それがカウルでした。

ニウロイヒキの時と同じように、ハカラニレオはことの次第を話しました。

するとカウルは、自分の力をひけらかすように、一つの川をひっ掴(つか)みました。
そしてしっかりと捕(つかま)えて、流れを止めてしまったのです。

しかし、ハカラニレオは悲しげに、こう言いました。
「まだまだ力が足りない。」

ロノカエホと会う

彼は涙をこぼしながら必死に進み、遂に4番目の英雄の所まで来ました。
この英雄の名はロノカエホです。

しかしここでも、結果は前の時と同じでした。
彼は英雄ロノカエホにも、満足出来なかったのです。

もうお終(しま)いだ

これらの4人はいずれも、最も勇敢な英雄だ、とハカラニレオが頼りにしていた男でした(N.1)。
その有名な英雄たち4人が4人共、彼の期待を裏切ったのです。

もうお終いでした。
彼は悲しそうに向きを変えると、家に戻るため山の森の方へと向かいました。

(次回に続く)
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(ノート)
(N.1) 4人の英雄たち:
4人の最も勇敢な英雄たちとは、カマララワル、ニウロイヒキ、カウル、ロノカエホの4人を指しています。
彼らは、お話の中で超能力を発揮する英雄たちで、超自然的存在(supernatural entities)(*2)、半神(Demigod)、トリックスター などとも言われます。

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅷ. Kapeepeekauila; or, The Rock of Kana. Rev. A.O. Forbes, p.63-73.
(*2) Martha Beckwith(1940); Hawaiian mythology, XXXIII.The Kana Legend, (c) Forbes version, p.466.