224 カペエペエカウイラ(8. カナを味方につける)

(前回からの続き)

体を温めてから話して下さい

それからカナは、老人のハカラニレオに言いました(*1)。

「さあ、この火でぬれた体を乾かしなさい。
そして暖まってから、これまでの経緯(いきさつ)を話して下さい。」

老人はカナに従いました。
そして体が十分に暖まると、彼を襲った悲し出来事について、話し始めました。

カナが奮い立つ

それを聞いて、カナが言いました。

「私はもう、与えられた寿命を、ほとんど使い果たしてしまった。
そして今はもう、ただ死を待つだけだ。

ところが、さあ見てくれ!
無敵の私が遂に、戦う価値のある相手を見つけたのだ。」

ハカラニレオの話を聞いたカナは、すぐさま彼を助けることに決めたのでした。

ニヘウのカヌー造り

そしてカナは弟のニヘウに、舟旅に出るための、カヌーを造るように命じました。

ニヘウは一生懸命に働いたのですが、可愛そうなことに上手く行きません。
やけになった彼は、激しく非難するように、カナに怒鳴りかかりました。

「あんたが私にさせている仕事は、とても仕事なんて言えるもんじゃねえ。
そりゃあもう、奴隷にされたように厳しいもんだ!

あんたはそこの隠居所で、のんびり暮らしてるが、
そのあんたの足が、わしが苦労して造ったカヌーを壊してるんだぞ。」

(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅷ. Kapeepeekauila; or, The Rock of Kana. Rev. A.O. Forbes, p.63-73.