232 カペエペエカウイラ(16. カナの力が尽きる)

(前回からの続き)

ハウプの頂上を襲う

「そうだ。」 と言って、カナは立ち上がりました(*1)。

ここで、彼の一方の脚はケアウエア、そしてもう一方はカイパネアと名付けられました。
そしてカヌーの上に立ち上がると、彼はその脚を上に向けて伸ばし始めました。

脚はどんどん伸び続けたので、ハウプの頂上に住む人々も、カナが迫って来るのに気付きました。
人々はそれを見て、怖さのあまり叫び声を上げました。

「わしら、みんな死んじまうぞ!
ほら見ろ。わしらのずっと上に、バカでかい巨人が現れたぞ。」

カペエペエカウイラの反撃


これを見たカペエペエカウイラは、急(いそ)いで、カマニ(テリハボク)の枝を下ろしました(N.1)。
こうすればハウプの断崖絶壁は隆起して、もっと高くなるに違いないと思ったからです。

そして実際に断崖絶壁は上昇し、また、カナも自分の体を伸ばしました。

カナの力が尽きる

そこでカペエペエカウイラたちは、断崖絶壁をもっともっと高くしようと、必死に頑張りました。
一方、カナは自分の体を更に伸ばして、高くして行きました。


そのためカナはやせ細り、バナナの葉の付け根、葉柄(ようへい)のようになりました。
それでも彼は少しずつ体を引き伸ばし、やがて蜘蛛の巣の糸よりも細くなってしまいました。

こうして遂にカナは、カペエペエカウイラに勝利を譲ったのでした。 

(次回に続く)
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(ノート)
(N.1) カマニ(kamani)
カマニはハワイ語名で和名はテリハボク、そして学名は "Calophyllum inophyllum"です。
常緑の高木で高さ8〜20mですが、30mを超す巨木になることもあるそうです。
ハワイでは神聖な木とされ、かつてはヘイアウの周囲にも植えられました。

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅷ. Kapeepeekauila; or, The Rock of Kana. Rev. A.O. Forbes, p.63-73.