233 カペエペエカウイラ(17. カナが太りニヘウは怒る)

(前回からの続き)

カナがハワイ島コナに横たわる

カナが敗れたのを見て、ニヘウはこう叫びました(*1)。
「あんたの祖母ウリが居る、ハワイ島コナに向けて横になりなさい。」

そこでカナは、大きく伸びた体を、コナの地に横たえました。
しかし、両足はモロカイ島に残したままでした。



祖母の食べ物でぽっちゃり太る

コナにいたカナの祖母は、やせ細った彼に食べ物を与え続けました。
そのお陰で彼は再び、ぽっちゃり太った体に戻りました。

その間、かわいそうなニヘウは、モロカイ島に残されたカナの両足を、じっと見つめていました。
すると、糸のようだった彼の両足に肉が付いて、太くなったったのでした。

怒ったニヘウの腹いせ

一方、ニヘウには食べる物も無く、飢え死にしそうな状態でした。
「だから何?」 とニヘウが言いました。

「あんたは、たらふく食い続けて、ぶくぶくに太ってる。
でも、わしは腹が減って死にかけてるんだ。」

こう言うとニヘウはその腹いせに、何と、カナの片足を切り落としてしまったのでした。

カナの体に痺(しび)れが走る

その激痛はカナの脚を通って、ハワイ島コナに横たわる、彼の胴体にまで伝わりました。

そこでカナは、祖母ウリにこう言いました。
「私の体が、じわじわと痺れて来るように、感じるんです。」

これに答えてウリが言いました。
「お前の弟もお腹が空いたんだよ。そうだよ、じっと見ていたんだから。

目の前でお前の両足がぽっちゃりして来たので、弟は我慢できなくなり、お前の片足を切り落としたんだよ。
だからお前の体が痺れるんだよ。」

(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅷ. Kapeepeekauila; or, The Rock of Kana. Rev. A.O. Forbes, p.63-73.