249 アイ カナカ(4.カラウパパのヘイアウ)

(前回からの続き)

もう一人の預言者を訪ねる旅

その代わり、ラニカウラはカマロに、「もう一人の預言者を訪ねなさい。」と教えました(*1)。
その預言者の名はカネアカマ、この島の西の端、約60kmほど離れた所にいました。

かわいそうにカマロは、連れて来た豚を持ち上げると、もと来た道を戻って行きました。
そして自分の家を通り過ぎると、今度は斜面を下りてパラアウへ向かいました。

カラウパパのヘイアウへ行け!

こうしてカネアカマに会うと、この預言者はカマロにこう教えました。
「プウカヒ・ヘイアウへ行きなさい。」

このヘイアウは島の風上側、カラウパパのパリ(断崖絶壁)の下にありました。


そこへ行けば、神官のカヒワカアプウに会えるかも知れないのです。
この神官は、サメの神カウフフに仕える、カフ(執事)でした(N.1)。

神官カヒワカアプウを訪ねる

かわいそうにカマロは、再びブタを背負ったのでした。
そしてカラエの丘の長い上り坂を、カラウパパの断崖絶壁に向けて、ゆっくりと進みました(N.2)。

やがてその断崖絶壁を下りると、カマロはカヒワカアプウの前に姿を現しました。
彼は神官に自分の言い分を述べ、必死に助けを求めました。

(次回に続く)
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(ノート)
(N.1) カフ(kahu):
「カフ」と似たハワイ語に「カフナ(kahuna」があります。両者の違いについて、エマーソン(J. S. Emerson; 92:2)は次のように解説しています。 
「『カフ』という語は、神とその守護者などの関係が、最高に親密で信任が厚いことを暗示する。一方、『カフナ』という語は、神官の地域社会に対する関係が、より専門家としての立場であることを示唆する。」
(N.2) カラエ(kalae):
「カラエの丘の長い上り坂」とは、現在の「Kalae Highway (Hwy 470)」 を指しているのかも知れません。

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907):Hawaiian Folk Tales, 17. Ai Kanaka, A Legend of Molokai, Rev.A.O.Forbes, p.186-192.