259 サメ男(3.荒れた海辺の出会い)

(前回からの続き)

海辺でサメの神が待つ 

ある朝、かなり荒れ模様の海辺を、サメの神が歩いていました(*1)。
彼はすばらしくハンサムな男に姿を変え、カレイが現れるのを待っていたのです。

そして、まさに「荒々しさ」という自然の力が、彼に念願のチャンスを与えたのでした。
その様子を、以下にもう少し詳しくお話ししましょう。

カレイの機敏さは一流

その朝は悪天候だったので、いつものカレイの仲間達は、漁に行くのを思いとどまりました。

それでも彼女は、たった一人になりながら、休まずやって来たのでした。
岩場の漁師たちの間でも、彼女は最も機敏な一人だ、と評判だったのです。

サメの神がカレイを救った

ところがその朝はあの機敏な彼女が、岩場を飛び渡るのに失敗したのです。
あのサメの神が自ら起こした、脅威の高波から逃れようとした時のことでした。

そして結末は、こういう風になったようです。

「もしも、あのハンサムなよそ者が、素早く手際良く救わなかったら、
彼女は岩場から流されて、海中に沈んでいただろう。」


やがて2人は結ばれた

こうして、2人は知り合いになったのでした。
その後、カレイは時々、このよそ者に会っていました。

そしてとうとう彼女は、彼の妻になったのでした。

(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907):Hawaiian Folk Tales, 24.The Shark-man, Nanaue. Mrs.E.M.Nakuina, p.255-268.