267 サメ男(11.王の目に留まる)

(前回からの続き)

王の前のナナウエ

王の前に連れ出された時、ナナウエは相変わらずカパ布のキヘイ、すなわちマントを着けていました(*1)。

その彼に王が尋ねました。
「なぜお前は他の皆(みんな)と一緒に、コエレの作業をしていないのだ。」

ナナウエは答えました。
「その作業は、私には要求されていない、と思います。」

こいつはいい戦士になるぞ

大胆で自由に振る舞うこのハンサムな男に、ウミ王は感心せざるを得ませんでした。

そして彼の素晴らしい体格に注目して、「こいつは、きっといい戦士になる。」と思いました。
この時代、優れた戦士が待望されていましたが、ウミ王の治世下ではそれが特に顕著でした。

そこで王は彼にただ、 「作業に出なさい。」 とだけ命令しました。

作業中もマントは着けたまま

ナナウエはこれに従いました。

そして作業場で所定の位置について、他の人々に仲間入りしました。
彼はそこで自分の力を発揮して、良い作業者であることを示しました。

しかし依然として、彼はキヘイ(マント)を着けたままでした。

--- 人々は当然、こう思ったことでしょうが。
「重労働をする時は邪魔になるので、脇に置くだろう。」



(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907):Hawaiian Folk Tales, 24.The Shark-man, Nanaue. Mrs.E.M.Nakuina, p.255-268.