280 オアフヌイ (3.人食い首長との出会い)

(前回からの続き)

ヘレマノに人食い首長が流れ着く

人食い首長の残党は、「ロ・アイカナカ」と呼ばれています(*1)(N.1)。
彼らは、ヘレマノの山側に住むように強制されたのでした。

そこは一つの地区を成しており、王族や神官が住むために確保された場所の、境界のすぐ外側にありました。
そして、その時の王は若い男で、「オアフヌイ」と呼ばれていました。

王オアフヌイと姉キリキリウラ

王の姉であるキリキリウラは、王にとっては母でもありました。
そして彼女は、王家の様々な権限や特権を、王と平等に分け合っているようでした。

この姉は、レフアヌイと言う名の首長と結婚しました。
彼は神官の血筋の人でしたが、それ以外の点では直接的には、王家との関係はありませんでした。

そして彼女は3人の子の母で、年上の2人が男の子、一番下は女の子でした。

彼らはみんな一緒に、王家の敷地の中に住んでいました。
しかし、かつての習慣に従って、建物は別々でした。

ロ・アイカナカと王オアフヌイ

さて、ロ・アイカナカはヘレマノの山側に陣取ると、初めは大人(おとな)しく振る舞っていました。
彼らは、王家の家臣たちとの交流に際しては、ずーっと慎重で分別がありました。

そして若い王を訪問しては、見たところ如何にも謙虚そうに、敬意を表しました。

南方の首長(ロ・アイカナカ)と直属の家臣たちは、オアフヌイに取り入ろうとご機嫌取りをしました。
すると彼らの卒(そつ)のないもの柔らかな態度に、王は強く心を引かれました。

こうして、王は首長らをご馳走に招待したのでした。


(次回に続く)
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(ノート)
(N.1) ロ・アイカナカ(Lo Aikanaka):
ロ・アイカナカは3つの語の合成語です(Lo+ai+kanaka)。各々の語の意味は、Lo= A line of Oʻahu chiefs=オアフ島の1首長の家系(ロ家)、ai=eat=食べる、kanaka=man=人、ですから、3つ合わせると 「人食い首長(ロ家)」 となります。

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 13.Oahunui. Mrs.E.M.Nakuina, p.139-146.