281 オアフヌイ (4.この豚肉は美味い)

(前回からの続き)

この豚肉は美味い(うまい)

この礼儀正しいご馳走会の返礼として、今度は南方の首長が饗宴を催しました(*1)。
そして、王はこのよそ者たちと正餐(せいさん)をとりました。

席上、王の前に出されたメイン料理は、豚肉のように見えました。
しかし本当は人間の肉だった、と強く疑われたのでした。

王はこの料理が彼の好みにピッタリだと感じて、大いに気に入りました。
そして首長ロ・アイカナカに、それとなくこう言いました。

「豚肉の下拵(したごしら)えや調理にかけては、あなたのアイプウプウ(料理長もしくは執事)の方が、王家のコックよりも一枚上手だ。」

ロ・アイカナカは王の新しい友

ロ・アイカナカはこの言葉にピンと来ました。

こうして若い王は頻繁に、この南国人の食卓(料理)の客になりました。
と言っても、実際に料理が並んだのは食卓ではなく、床に敷かれたマットの上でした。

ところで、王をお招きするには、何らかの大義名分が掲げられたことでしょう。
例えば 「王に、コナネ(チェッカーズに似たゲーム)のご指南をお願いする。」 などです。


また、さまざまな運動や戦闘的スポーツの競技会が企画されたことでしょう。
そしてオアフヌイには審判をお願いしたり、また単にご観戦頂いたかも知れません。

当然のことですがこの手の気兼ね無い訪問では、スポーツや食事が終わった後も、王は暫くの間そこに留まる、と予想されたことでしょう。
このようにあれこれかこつけては、王はかなり多くの時間を、この新しい臣民で友人でもある人々と過ごしました。

(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 13.Oahunui. Mrs.E.M.Nakuina, p.139-146.