283 オアフヌイ (6.王が忠告を聞き入れる)

(前回からの続き)

王は人肉に病みつきだ

王オアフヌイの人民たちは、ほのめかすように、こう言い始めました(*1)。

「わしらの若い王様は、あのご馳走会で人肉を食べているうちに、病みつきになったのだ。
そして今では王の残忍な食欲が、この恐ろしい料理を欲しがっているんだ。

だから彼は、王室のあらゆる慣例を破って、身分が下のあいつらを頻繁に訪ねるんだ。」

人々の不満が高まる

人々は、オアフヌイが彼の新しい友達と親しくすることを、快(こころよ)く思っていませんでした。

そしてその不満は、次第に公然と口にされるようになりました。
しかも、始めはささやくようだった声が、声高で強い叫びへと膨らんできました。

側近の忠告を聞き入れる

これを見た王の側近の首長や高僧は、不安に駆(か)られました。

そこで彼らは、ロ・アイカナカたちを訪ねるのをやめるよう、王に懇願しました。
さらに、もしもやめないならば、その先何が起きようが彼らは責任を負えない、と詰め寄りました。

こうして王は、彼らの忠告を聞き入れざるを得なくなりました。
そして、ロ・アイカナカの家には近づかない、と約束したのでした。

それ以後、王はかなり長い間、約束を守り続けました。


(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 13.Oahunui. Mrs.E.M.Nakuina, p.139-146.