284 オアフヌイ (7.レフアヌイが魚取りに行く)

(前回からの続き)

王家の男たちの食事

さて王家の男たちは誰も皆、王が在宅ならば王と共に食事を摂りました(*1)。

そこには王の姉の夫であるレフアヌイと、彼らの息子たち2人もいました。
息子たちは、健康で丸ぽちゃの幼い少年で、年齢は8歳と6歳ぐらいでした。

ワイアルアの魚が欲しい

ある日、朝食の後、ワイアルアに打ち寄せる波の轟(とどろき)が、はっきりと聞こえました。
そこで王はこう言いました。

「ワイアルアのウコア池の魚は、きっとマカハ(水門)に押し寄せているであろう(N.1)。
アホレホレを何匹か欲しいものだ(N.2)。」



この王の言葉は、現実には彼の義理の兄に向けた、 「お前が行って魚を取って来い。」 という命令でした。

なぜなら、そこに居合わせた一番上位の首長が、レフアヌイだったからです。
彼の甥(おい)である王家の子2人も居ましたが、このような仕事を任せるには、まだ幼(おさな)すぎました。

レフアヌイがワイアルアに行く

ということで、キリキリウラの夫レフアヌイは、ワイアルアに行きました。
彼に随行したのは、彼自身の家族の召使いが数人、そして何人かの王直属の家臣でした。

彼らがマカハに行ってみると、そこには魚がぎっしり詰まっていました。


それから暫(しばら)く後、彼らは忙しそうに、魚をすくい上げては洗い塩漬けにする作業に、没頭していました。

(次回に続く)
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(ノート)
(N.1) ウコア池(Ukoa pond):
ウコア池は、養魚池(fishpond)の一つで、ワイアルアの海岸付近にありました(*2)。
この池には女神ラニワヒネ(Lani-wahine)が住み、オオトカゲ(mo'o)の姿で人々の前に現れる、と伝えられています。
またこの池では不思議な魚を目にすることがあるそうです。例えば、左面はボラ(mullet)だが右面はヒメジ(kūmū)、という魚がいるのです.
(N.2) アホレホレ(aholehole)):
アホレホレはアホレ(ā.hole)の幼魚です。アホレはハワイ語名で、その学名 "Kuhlia sandvicensis"が示すように、ハワイの固有種です(*3)。
この魚は、時には悪霊を追い払う魔術に使われ、また時には「海の豚」と呼ばれ、豚に代わる供物として神に捧げられました。

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 13.Oahunui. Mrs.E.M.Nakuina, p.139-146.
(*2) Pukui et al.(1974): Place names of Hawaii, Reviced and Expanded Edition, p.214.
(*3) M.K. Pukui, S.H. Elbert(1986) : Hawaiian Dictionary, Univ. of Hawaii Press, p.8.