286 オアフヌイ (9.レフアヌイはあれこれ考えた)

(前回からの続き)

私は邪魔者だった

レフアヌイは、息子2人が死んだのは確かだ、と思いました(*1)。
そこで、あらゆる噂話しや当てこすりを思い起こしてみました。

例えば、王があのよそ者たちを訪ねた理由に関するものです。
それから、高位の神官と首長たちの緊急要請で、その訪問が強制中止された件です。

こうして彼は、次のような結論に達しました。
「王が私を前に置いて、魚が欲しいと言ったのは、ただ単に、私をどこか遠くに行かせるためだった。」


王がライバルを食べた

彼はこんな風に考えたのでした。

「間違いなく王は、あの幼い子らの丸ぽちゃの体形や、肉付き良い手足に注目していた。
しかし人肉を食べることは、秘かに禁じられていた。

そこで王は、召使いたちに無理やり命じて、王自身の甥(おい)を殺させたのだ。
そして調理させ、出来た料理を食卓に出させたのだ。」

こうして彼は、邪悪な食欲を満たしながら、有力なライバルになりそうな2人も、一掃してしまったのでした。

疑われたら追放される

何故なら次のようなことが、非常に起こりそうだったからです。

すなわち、仮に王が 「人食い生活にもっと耽(ふけ)りたい欲望がある。」 と疑われたとしましょう。

すると神官や首長たちは、いずれ近いうちに、王を権力の座から追放することでしょう。
そして、彼の若い甥(おい)の何れか1人を、後継者に任命し公表するでしょう。

(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 13.Oahunui. Mrs.E.M.Nakuina, p.139-146.