295 クウラ ハワイの魚の神 (5.ウツボは息子に任せる)

(前回からの続き)

ウツボがクウラの魚を狙う

それからこのプヒ(ウツボ)は、自分の棲家(すみか)を後にしました(*1)。

そしてアレアマイの近くにある海中洞窟にやって来て、そに棲(す)み着きました。
この洞窟はカプカウルアと呼ばれ、アラウの岩の少し沖にありました。


ウツボがここにやって来たのは、池の魚を盗(ぬす)むためでした。
クウラが造ったあの池を壊して、彼が蓄(たくわ)えた魚を奪い取るのです。

何しろ池には、今でも知られているように、種類も色も様々(さまざま)な魚がいたのですから。

クウラが作戦を練る

ある時クウラは、池に蓄えた魚が消えたことを発見、びっくり仰天しました。
そこで彼は昼も夜もひたすら、池を見張り続けました。

そして夜明け近く、遂に1匹の大きなウツボを目撃しました。
そのウツボはマカイ(海側)の壁を通り抜けて、池の中に入って来たのでした。

クウラはこれを見た時、まさにこれが魚が失われた原因だ、とわかりました。
そこで彼はウツボを捕まえて殺す方法を、あれこれと考えていました。

しかし妻と話し合っているうちに、この件は息子のアイアイに任せることに決めました。
そうです、「その泥棒を、どんな方法で捕(つか)まえて殺すか?」 を、息子自身の判断に任せたのです。

(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 21. Ku-ula The Fish God of Hawaii, Translated from Moke Manu by M.K. Nakuina, p.215-229.