297 クウラ ハワイの魚の神 (7.ウツボが喰い付いた!)

(前回からの続き)

カヌー上で最後の準備

ほんの少しだけ休むと、アイアイはあのヒョウタン容器を開けました。
そして釣り針・マナイアアカラニを取り出して、ハウで作ったロープを結び付けました。

次に細長い棒を手に取ると、その一端に釣り針をセットしました。
釣り針には、ココナッツをはじめ、魚たちを惹(ひ)き付ける物を混ぜ合わせた、餌を付けました。

そして2回目の潜水の前に、合図の手はずを整えました。
海底で彼が成功した時、カヌー上の人たちに知らせる合図です。


ウツボが喰い付いた!

準備がすむと、彼はもう一つの石を拾い上げて、再び海の中へ潜って行きました。

それから洞窟に向かって進み、その中に釣り針をセットしました。
同時に彼の両親の名の下に、幾つかの呪文(じゅもん)を唱(とな)えました。

プヒが釣り針に掛かったと判(わか)ると、彼は手はず通りに合図を送り、カヌー上の人たちに成功を伝えました。

それから暫(しばら)くすると、彼は海面に浮上して来ました。
そして彼がカヌーに乗り込むと、カヌーはロープを引きずりながら進み、彼らは皆揃(そろ)って海から岸に戻りました。

(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 21. Ku-ula The Fish God of Hawaii, Translated from Moke Manu by M.K. Nakuina, p.215-229.