298 クウラ ハワイの魚の神 (8.アイアイがプヒを殺す)

(前回からの続き)

ロープを引く人を集める

アイアイは、ハネオオから来たカヌーの人たちに、こう指示しました(*1)。


「ハネオオへ、そしてその先のハモアへ、カヌーを進めるのです。
着いたら全ての人に『みんなでプヒを引き上げるんだ!』と、伝えるのです。」

同じ様にアレアマイの人たちにも、地元に戻って人々に伝えるよう、指示が出ました。

こうして2艘のカヌーは、各々の目的地に向けて、出航して行きました。
アイアイの指示は彼らの心に刻み込まれ、2つの場所の人々によって、きちんと実行されました。

そして実際にこの仕事のために、沢山の人々が集まったのでした。

アイアイがプヒを殺す

それからアイアイは、カイウィオペレの丘に登りました(N.1)。


そして両方の場所に集まった人々に、手信号で合図を送りました。
「このロープを引っぱれ! プヒが喰い付いた釣り針のロープだ。」

このロープ引き競争では、アレアマイの人々が勝ったと言われていました。
アレアマイは、ハネオオとハモアの連合軍に比べて、人数が遥かに多かったのでした。

そこでアレアマイの人々は、レホウラのパホエホエ溶岩の上に、プヒを引き上げました(N.2)。

彼らはその獲物(プヒ)を殺そうと、懸命に頑張りましたが、上手く行きませんでした。
最後はアイアイがやって来て、狙いを定めて3つのアラ石を投げ付け、プヒを殺したのでした(N.3)。

(次回に続く)
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(ノート)
(N.1) カイウィオペレ(Kaiwiopele):
カイウィオペレは「ペレの骨」を意味するハワイ語です。この語を分解して "Ka-iwi-o-pele" とすると、 iwi=骨、pele=ペレ、だからです。火山の女神ペレはこの近くで姉に殺され、ペレの骨がこの丘に残された、と伝えられています。
(N.2)パホエホエ(pahoehoe) :
パホエホエは 、火口から流れ出た溶岩の形状を表すハワイ語で、表面が滑らかで砕けていない溶岩、を指します (日本語名: パホイホイ)。これに対して、表面がガサガサでトゲトゲした溶岩は、ハワイ語でアア(aa)と呼びます。
(N.3)アラ(ala) :
アラは、高密度の火成岩から成る丸みを帯びた石、を意味するハワイ語です。手斧やポイ・パウンダーに利用されました。なおポイ・パウンダーとは、かつての主食ポイを作る過程で、タロを叩(たた)き潰(つぶ)す時に使われた道具です。

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 21. Ku-ula The Fish God of Hawaii, Translated from Moke Manu by M.K. Nakuina, p.215-229.