300 クウラ ハワイの魚の神 (10.あなたの神は殺された)

(前回からの続き)

プヒのカフがやって来た

この出来事の後、ある男がモロカイ島のワイラウからやって来ました(*1)。
その男は、あのプヒのカフ(執事)でした。

彼はある夜、夢を見ました。
その夢の中であのプヒの霊に出会うと、霊はこう言いました。

「あなたのアウマクア(神)は、ハナで殺されてしまいました。」


そこで彼は、この夢を自分の目で確かめようと、それが起こった場所に、やって来たのでした。

アイアイらを殺してやる!

ワナナルアに着いた彼は、ハナの王であるカモホアリイの、家臣の1人と友達になりました。
そして王の下で働きながら、長い間そこに住んでいました。

その間に彼は、あのプヒがどのようにして捕まり殺されたか? を学び知りました。
そうです、クウラとヒナプクイアの息子である、あのアイアイに殺された事情や状況を調べたのです。

それから彼は、何としても彼らを殺してやろうと、あれこれ努力したのでした。

まずはクウラを訪ねる

実行計画をじっくり練り上げると、彼はある日、誰に命じられた訳(わけ)でも無く、クウラの所へ行きました。

そして、こう言いました。
「王に命じられて、魚をもらいに来ました。」

これを聞いたクウラは、彼に一匹だけ魚、ウルア、を渡しながら、
こう言って注意を促しました。

「王のもとにお戻りなさい。そして王にこうお伝え下さい。

『魚の頭は切り離して、イムで焼いて下さい。
そして、胴体の肉は細かく切り刻み、塩を振ってから天日干しをして下さい。』

なぜなら 《 ここはハナ、アウペフの土地だから(N.1);
ハナは魚が少ない;カマの魚;ラナキラの魚。 》

( Eia o Hana la he aina aupehu; o Hana keia i ka ia iki; ka ia o Kama; ka ia o Lanakila.)」

(次回に続く)
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(ノート)
(N.1) アウペフ(aupehu):
アウペフはハワイ語で、「食料が無い時期」を意味すると考えられます。「aupehu = au + (maka)pehu = 時期 + 飢え = 食料が無い時期」だからです(*2)。

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 21. Ku-ula The Fish God of Hawaii, Translated from Moke Manu by M.K. Nakuina, p.215-229.
(*2) Pukui & Elbert(1986);Hawaiian Dictionary, Univ. of Hawaii Press.