303 クウラ ハワイの魚の神 (13.これを持って行くのだ)

(前回からの続き)

やはり奴は仲間だった

暫(しばら)く考えた後で、クウラは王の家臣にウルアをあげたことを思い出しました(*1)。
そして、こう感じたのでした。

「奴は仲間だったのだ。
王の民(たみ)にこんな事をさせた、仕掛け人の仲間なのだ。」

彼は以前にも、それを疑ったことがありました。
しかしこの時になって、彼は確信したのでした。

煙がお前を導いてくれる

そこで彼は息子の方に顔を向けると、こう言いました。

「我が子、アイアイ・ア・ク・ウラよ!

仮に、私たちの家が燃やされて、私たちの体にも火が回ったとしよう。

そして、その煙が一直線に進んでカイウィオペレの丘まで行ったら、
お前はその煙の動きを注意深く見守るのだ。

そうすれば煙が、このトラブルから抜け出る道に、導いてくれるだろう。
煙の後を追いかけて進んで、ほら穴を見つけたら、お前はそこに住むことになるだろう。

これを持って行くのだ

さあ、これらを持って行きなさい。

この釣り針、マナイアアカラニと呼ばれているんだ。
この真珠の魚(パ・ヒ・アク)もだ、こちらはカフオイと呼ばれている(N.1)。


この貝、その名はレホウラだ。そして、この小さな砂岩の石、
人々が私を呼ぶ時の名前 「ク・ウラ・アウ・ア・ク・ウラカイ」は、これからとったのだ。

それは、海に住んでいるあらゆる魚の先祖なのだ。

(次回に続く)
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(ノート)
(N.1) 真珠の魚(パ・ヒ・アク)(fish-pearl (pa hi aku)):
「真珠の魚(パ・ヒ・アク)」とは、「疑似餌付き釣り針」のことです。この語を少し詳しく見ると、そのアルファベット表記(fish-pearl (pa hi aku))において、前半(英語)"fish-pearl"は 「真珠貝を使った疑似餌」を意味し、後半(ハワイ語)"pa hi aku"は「カツオ(用)の釣り針」を意味します。さらにハワイ語を3つに分解すると、"pa"は「真珠貝(を使った疑似餌),釣り針」、"hi"は「カツオを釣る」、そして"aku"は「カツオ」を意味します(*2)。

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 21. Ku-ula The Fish God of Hawaii, Translated from Moke Manu by M.K. Nakuina, p.215-229.
(*2) Pukui & Elbert(1986);Hawaiian Dictionary, Univ. of Hawaii Press.