307 クウラ ハワイの魚の神 (17.復讐の第2弾)

(前回からの続き)

父に助けを求める

アイアイが去った後、家は激しく燃え上がりました。
そこで彼は父の言葉に従って、助けを求めました。

「あいつらを一人残らず焼き殺して下さい。
--- あの燃え上がる家の中で、私たちを捕(つか)まえて縛り付けた者たちを。」

彼がこう言い終えると、風が吹き海面にさざ波が立つのが見えました。
そしてこれに霧雨も加わりました。


復讐の第2弾:罪人を焼き殺す

徐々に勢力を増大させながら進み、それは遂にレホウラまでやって来ました。

この強風にあおられて、火はますます激しく燃え上がりました。 
そのため炎はより遠くまで伸び、王に従った人の群れに達しました。

トラブルの張本人であるモロカイ島から来た男にも、火の手が伸びました。
炎に巻かれた彼は、丸焼けになって死んでしまいました。

黒焦げの死体の数々は放置され、人々の目に晒(さら)されました。
これが、クウラの復讐の第2弾でした。

炎は罪人だけを襲った

不思議な事に、この残虐行為に関わらなかった人々は、誰一人として負傷しませんでした。
--- 燃えていた家の、より近くに居たというのに。

炎は罪を犯した者だけに、狙(ねら)いを定めて伸びたのでした。

暫(しばら)くすると、クウラの家で残ったのは、燻(くすぶ)り続ける数本の丸太、そして灰だけになってしまいました。

このように炎が不思議な動きを見せたので、クウラと彼の妻の死にも、疑いを抱く人が出て来ました。
そして彼らの間では、この件について盛んに議論が交わされました。

(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 21. Ku-ula The Fish God of Hawaii, Translated from Moke Manu by M.K. Nakuina, p.215-229.