309 クウラ ハワイの魚の神 (19.餌も魚も消えた)

(前回からの続き)

いつもの餌(えさ)がいない

人々は王の命令に従いました(*1)。

彼らは魚捕り用の籠(かご)を手に、海辺へ下りて行くと、
いつもの餌(ウエウエ)を見つけようと、あちこち探し回りました。

捕まえたら細かくすりつぶして、籠に入れるつもりだったからです。
ところが現実に海辺に来てみると、何も見つからなかったのでした。


いつもの餌の代わりに使えそうな物も見つからないし、 また、いつもは海の中を泳ぎ回っている、魚たちの姿も全く見えませんでした。

クウラたちが連れ去った

「何故(なぜ)?」 それが問題でした。

そしてその答えは、クウラと彼の妻。
彼らが、ありとあらゆる魚を、そして魚釣りに必要な全ての物を、連れ去ったのでした。

手ぶらで家に帰る

餌が全く見つからないので、彼らは石灰岩を粉々に潰(つぶ)して、籠の中に置きました。
それから沖に向けて泳いで、海中に籠をセットしました。

彼らはそれをじっと見守りながら、一日中待ちましたが無駄でした。
というのは、たった一匹のヒナレアも姿を見せないし、何一つ籠に入らなかったのですから。

夜になると、彼らは手ぶらで帰りました。
そして翌日、再び海辺に下りて来ましたが、結果はやはり同じでした。

(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 21. Ku-ula The Fish God of Hawaii, Translated from Moke Manu by M.K. Nakuina, p.215-229.