312 クウラ ハワイの魚の神 (22.あふれる魚に大喜び)

(前回からの続き)

両親に魚を取ってもらうんだ

そこでアイアイは、彼の友達にこう言いました(*1)。

「さあ、両親をここに連れて来て、魚を取ってもらうんだ。
籠を持って来てもらおう、獲物を家に持ち帰るんだからネ。

君の両親が一番最初だ、好きなものを選び取ってもらうんだ。
そしてその次が、魚捕り用の籠を貸してくれた人たちだ。」

使いの者が友達の家に急ぎ、指示通りに親族たちを連れて来ました。

それからアイアイは2匹の魚を取ると、友達に手渡しました。
彼らがクウラのためにレホウラに設置した、あのコアにお供えするのです(N.1)。

アイアイが王の死を予言する

さらにアイアイは、こう友達に伝えました。
「日が沈む前に、人々はこんな話を聞くだろう。

『ハナの王カモホアリイが死んだ。
魚を喉(のど)に詰まらせて、窒息死したんだ。』」

そして、予言のようなこのアイアイの言葉が、現実になったのでした。

あふれる魚に大喜び

アイアイが奉納を終えた後、魚の集まっている場所に、友達の両親がやって来ました。
そして、欲しいだけ持って行け、と言われました。

彼らは言われた通りにして、幸せそうに家に帰りました。
何と言っても魚が山ほどいて、苦労せずに手に入ったのですから。

次に呼ばれたのが、籠の持ち主たちでした。
彼らは自分自身の分、そして王の分を、いくらでも必要なだけ持って行けと言われました。


溢(あふ)れんばかりの魚に、居合わせた人々は2人の少年の成功を喜び、また大変驚かされたのでした。

再び魚が現われたと言う一大ニュースは、この地域全体に広がりました。
そして人々は大勢集まって、思うがままにヒナレアを集めては、大喜びで家に帰って行きました。


(次回に続く)
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(ノート)
(N.1) コア(ko’a):
コアはコア・クウラ(ko’a ku-ula)の略称で、クウラの神社またはクウラの祭壇、を指すハワイ語です。

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 21. Ku-ula The Fish God of Hawaii, Translated from Moke Manu by M.K. Nakuina, p.215-229.