314 カリウワア. 半神カマプアアが-- (1.渓谷の底を進む)

(新しいお話の始め)

カリウワアの美しさは島一番

オアフ島の風上側、ライエの数マイル東にあるのが、カリウワア渓谷そしてカリウワアの滝です(*1)(N.1)。


ここはこの島で最も美しくロマンティックなスポット、として注目されています。
また伝承の世界では、地元で関心が高い以上の何かがある、として良く知られています。

渓谷を3kmほど進むと突然行き止まり、そこは切り立った山脈の足元です。
この山脈はオアフ島の風上側にあり、島のほぼ全長に渡って伸びているのです。

唯一つの例外は深く切れ込んだ狭い谷で、その底は細い小川が流れる溝になっています。
そこにはかなり定期的に水が流れて、海面と同じ高さまで下って行きます。

渓谷の底を進む

渓谷の一番奥に馬を残して、旅人は狭い山道に入ります。
その幅は15〜18mもありません。

彼は曲がりくねった道を、どんどん進んで行きます。
その間、流れを横切ったと思ったらまた横切って、と何度も繰り返します。

こうして彼はようやく、自分がまさにあの山の中に、入って来たように思えるのです。

両側の壁は硬い岩から成っています。
その高さは60〜90m、場所よっては120mもあり、真上にそそり立っています。

頭上に見える空はほんの僅(わず)かで、細長い帯のようです。


(次回に続く)
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(ノート)
(N.1) ハワイアン スペクテーター(The Hawaiian Spectator):
このお話しは、原題に " --From "The Hawaiian Spectator" "とあるように、ハワイアン スペクテーターからの引用です。
なおこのハワイアン スペクテーターはハワイ初の機関誌で、1838年と1839年の2回発行されました。

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 18. Kaliuwaa. Scene of the Demigod Kamapuaa's Escape from Olopana. From "The Hawaiian Spectator", p.193-199.