316 カリウワア. 半神カマプアアが-- (3.あの滝に着いた)

(前回からの続き)

もう一つの似た断崖に着く

現在の小川に戻ると、我々は再びあの滝に向かって進み始めました(*1)。
しかし、そう遠くまで行かないうちに、上でご紹介したものとは別の、もう一つの断崖に着きました。

それは小川の右側にあって、先ほどの断崖と色々な面で似ていました。
しかしそのスケールは、遥かに大きくて高さもありました。

これらの断崖のいずれか一方で、巨大な垂直溝を慎重に調査すれば、
それを形成した自然の原動力が何であるかを、正しく知ることが出来るでしょう。

垂直溝を観察する

その幅は、頂部よりも底部のほうが、かなり広くなっています。

これは落下する水が広がることに因(よ)るもので、
目もくらむような高さから、真っ逆さまに落ちるのですから、当然のことでしょう。

そして底部での寸法は、幅が約6mで奥行きは約4mです。
しかしこの幅と奥行きの寸法は、底部から頂部に向けて、緩やかに減少しています。

そして岩肌はすり減って滑らで、あたかも芸術家がのみで彫ったかのようです。

岩の割れ目には土が少しずつ溜まって来て、そのほんの僅かな土からは、コケや小さな草が芽を出しています。
しかし岩を覆い隠して見えなくするには、まだまだ不十分です。

あの滝に着いた

「かつて川だった溝から現在の流路へと、流れが移った原因」 を解明するのは、大変難しいことでしょう。

このとても興味深い問題を残したまま、我々はさらに数mほど進みました。
するとその時、我々はとうとう、あの滝がある場所やって来たのでした。

その滝の高さは約24〜30m。
断崖絶壁上を流れて来た水が、落下直前に川幅が急に狭くなって圧縮され、岩の間から一気(いっき)に噴き出しています。

水量が多い時には、この滝は本当に素晴らしい水の膜のようです。



(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 18. Kaliuwaa. Scene of the Demigod Kamapuaa's Escape from Olopana. From "The Hawaiian Spectator", p.193-199.