320 カリウワア. 半神カマプアアが-- (7.言葉に表せない素晴らしさ)

(前回からの続き)

ククイの老木と流れ

もう一度ククイ、一本の老木、に目を向けてみましょう(*1)。
その幹は歳を重ねるにつれ、コケが生えて白くなっています。


幅の広い大枝が、流れのはるか向こう側まで伸びています。
この流れが、ククイの活気あふれる根に、栄養分を与えているのです。

その大枝が、水面に真昼の影を投げかけています。
そしてこの様子が、鮮明に水面に写し出されているのです。

樹木の芳香

色々ある喜びの中の一つに、ぜひとも加えておきたいのがあります。
それが若々しい樹木の芳香、他と比べようもない素晴らしい香りです。

この芳香は、永久(とこしえ)の生命力と活力に満ち溢(あふ)れており、
我々を爽(すこ)やかにしてくれるので、感覚の働きに心から感謝するのです。

情景を伝えるのは難しい

しかし、ある情景についての思いを、他の人にうまく伝えようとしても、虚(むな)しいだけです。

そこでは、 「荘厳さ」は「美しさ」と混じり合ってしまいます。
また 「大胆さ」や「際立ち」は、「繊細さ」や「敏感さ」 と混じり合うからです。

そしてそこでは、あらゆる感覚が満たされ、心は穏やかで、全身全霊が喜びに満ち溢(あふ)れています。


(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 18. Kaliuwaa. Scene of the Demigod Kamapuaa's Escape from Olopana. From "The Hawaiian Spectator", p.193-199.